たとえこの恋が罪でも――時代BL特集

    初恋のひとのことをいまでも忘れられない方へ
    センシティヴな珠玉作

  • 玉響

    • 著:ゆき林檎
    貿易商の一人息子である麻倉通忠は
    全寮制の旧制高校へ入学する。
    そこで同室になったのは、幼い頃に唯一
    心を許した幼馴染み、立花だった。
    けれど立花との再会は
    麻倉にとって複雑なもので───
  • 貿易商の一人息子でハーフの麻倉は、子供のころから苛められていて、誰も愛せない。しかし、幼い頃に唯一心を許した幼馴染み、立花に再会する。立花は早熟で、既に女性経験もあるようだ。そんな立花を見ていると、麻倉は落ち着かない。


    秘めた思慕を滲ませるような、繊細な筆致。

    ある日、立花から、麻倉のことが好きで、気を紛らわすために他の女性を抱いたと告白される。それ以来、誰かと電話をする立花を見ただけで、胸に突き刺すような痛みが走るようになる。女が相手なのか? と――

    「他人のように突き放したり、やさしくしたり、お前の本心がわからない……」

    初めて知った嫉妬の意味、人を好きにならなければ起こらない苦しみ。理性では押さえきれない渦巻く感情に混乱し、麻倉は途方に暮れるのだった。
    そんななか麻倉は令嬢との見合いを、立花は父親の会社の倒産で退学を余儀なくされ、ふたりは引き裂かれる。

    粋な江戸文化にタイムリープしたい方へ
    リアルに蘇る浮世絵のような江戸の≪色≫

  • 百と卍

    • 著:紗久楽さわ
    時は江戸時代・後期。真夏の蒸し暑くせまい長屋で、熱い吐息交じりにまぐわう男がふたり―。 客に男色を売った男娼の総称=陰間(かげま)。 元・陰間の百樹(ももき)は、ある雨の日に卍(まんじ)に出逢い拾われた。陰間の仕事としてではなく、やさしく愛おしく、恋人として抱かれる瞬間はまるで夢のようで、そんな日々に百樹は幸せでいっぱいなのだった。たとえ過去に、どんなことがあったとしても。 伊達男×陰間あがり。溺れるほど愛おしい江戸男子の艶ごと極上エロス。
    江戸漫画の革命児、紗久楽さわが描く、初のBL作品!
  • 『男色大鑑』から百年後、男色文化が翳りを見せ始めた江戸末期。
    ある雨の日に、陰間の百樹は、美男の卍に出逢い、拾われる。
    百樹はでかい図体にもかかわらず、仔犬のような甘えん坊で、元陰間のくせにおぼこくて、辛い過去があったにもかかわらず天真爛漫な青年だ。いかにも女にもてそうな、役者のような艶っぽい卍だが、そんな百樹に心底惚れている。


    長屋で熱くまぐわう日常は、極上に甘い。

    数知れぬ男たちに弄ばれた、暗い過去がある百樹にとって、陰間としてではなく、義兄弟の契りを結んだ関係として愛される日々は、溺れるほどの幸福だった。だが、卍はどこか捨て鉢で、影がつきまとう。
    その理由が次第に明らかにされて、ふたりの関係は……。

    禁忌のエロスを感じたい方へ
    愛憎うずまく大河ロマン

  • 蟷螂の檻(1)

    • 著:彩景でりこ
    昭和の華・當間一族…地方名家・當間家の跡取りとして厳しく育てられてきた育郎は、座敷牢に匿われる妾腹の兄・蘭蔵に父の関心のすべてを奪われていた。辛くとも気丈にふるまう育郎だったが、そのそばには、常に一人の男がいた。典彦。育郎が幼い頃から仕える年上の使用人である。典彦は、孤独な育郎を蛇のように愛でた。深い口づけを教え、性処理とうそぶきながら股を開かせ、その長い指で尻を抉った。そうして育郎に快楽の種を植え付け体をいやらしく変えていった。そして数年後、事態は一変する。當間家当主が死に、育郎が次代を継ぐ時が来て― 孤独な御曹司に植え付けられた快楽の行く先は…。
  • 育郎にとって家庭内は、暗く、孤独で陰湿な場でしかない。座敷牢に匿われる妾腹の兄に、父の関心のすべてを奪われていたから。


    「男同士で関係を持つ意味がない」と嘯きつつも、
    これは単なる性欲処理だと育郎を嬲る典彦

    そんな育郎を、使用人の典彦は蛇のように愛した。口づけを教え、股を開かせ、育郎に快楽の種を植え付け、体をいやらしく変えていく。


    無垢な青年は快楽の秘密を知る――

    やがて父が死に、育郎は当主として妻を娶る。だが、夫婦の営みはなく、相変わらず典彦に依存しつづける。