キャリア組、一癖も二癖もあるエリート斉藤誉、30歳が、撃たれて死ぬよりも嫌なこと――それは……

犯人に「撃つぞ」と言われても微動だにしない、それほどプライドの高い斉藤だけに、かなりのルックスですが、どうやら女性の影も形もない。 硬派な矢島千紘にとって、いかにもインテリ然とした、若干パワハラ気味の斉藤は苦手な存在。ところが、そんな斉藤が、ある日、強面の矢島にキスをしてきて……。

男同士の不器用な関係がじょじょに色づいて、お互いどうしようもなく惹かれ合っていく――

「好きだ」という言葉もなく、わかりやすい盛り上がりはないのですが、ふたりに漂う濃密な空気感で充分伝わるものがあります。 事件や捜査といった社会との結びつきまでをしっかりと描いてあり、淡々とした中にも大人の事情が垣間見えて、激しい執着愛よりも、日常にある朴訥とした愛の方が、むしろ純粋であるかのように感じさせてくれる一冊。

ときは明治末期。
事故で、半年もの間、こん睡状態だった警官の巌。目覚めると大事な従弟・未散への想いを忘れていたという(笑)
さらに、未散の貞操を守るため、未散が働く“よろづ屋”の主、妖艶な月森に身を投げ出したのに、そのとろける程の快楽に囚われてしまいます。

月森は異形の者で、体中に鱗があり、その鱗を剥ぐと吐精する…！

危うい、人ならぬ霊的な存在の謎を解きながら、巌が忘れ果ててしまった、未散との≪禁断の触れあい≫の過去も明かされていきます。

巌は妖艶な月森を選ぶのか？　それとも可愛い未散？
日本古来の男色の香りを漂わせながら、あやかしの存在の謎にも迫っていく、レトロな雰囲気漂う、ホラーサスペンスです。

やくざの輝はとんでもなく可愛い顔をしていて、それを隠すべく、いつもはオールバックにグラサン姿。
ところが、やくざなのにあるまじき、ひょんなことで、堅物警官の上田さんに一目惚れ。そこから鉄砲玉のような猛烈アプローチが始まります。
その甲斐あって、父親の元に自分の恋人として上田さんを紹介し、ハッピーエンドと思いきや、そのあとも続くよ続くで、今や16巻まで出ている（！）大長編です。

ストーカー事件もあり、ときどき危ない目に遭うものの、スパダリ警官・上田さんの包容力で、輝は苦難をあっという間に乗り越えられてしまいます。
やくざと警察というロミジュリ設定ではありますが、キュートな絵柄という魔法で一切重さを感じさせず、すべてをハッピー空間に変えてしまう。二人を取り巻く人たちもいい人ばかりで、心がほっこり温まること間違いなし！

確かに離れたくても何をしていても、まるで磁石のように、二人には不思議なシンクロニティが起こってしまう。肉体の相性も抜群だ。

「やくざものは苦手」と躊躇している人こそ読んでほしい。まるでおもちゃ箱のように甘くて、可愛らしい夢だけが詰まっていますから。

人を殺す悪夢を見て、現実と思ってしまった、28歳の可愛い加賀が駆け込んだ先は交番。そこにいた爽やか新米おまわりさん、勢戸に胸がズキュンと貫かれてしまいます。

その日以来、悪夢にうなされるたびに、交番にお世話になってしまう加賀は、実はゲイで、優しい勢戸をどんどん好きになってしまいます。
やがて加賀の悪夢は、H未経験なのに、彼に抱かれる夢にまで進化していってしまう――勢戸はノンケだというのに。

夢か現実か判然としない場面構成のため、読者も夢なのか現実なのかわからず、ドキドキしてしまいます。
おまわりさんが鈍感で、少々回り道もありますが、すぐに結ばれて、そのあとはひたすら溺愛されるので、ご安心ください。