俺にはそんな価値などない。
男に抱かれて嬌声をあげるような、屑だ。
蓮が姿を消して五年。セキは仕事を続けていたが、興津組の内部抗争に深く関わっている上、日本への勢力拡大を目論むチャイニーズマフィア・劉につけ狙われることに。自分はただの故買屋だ。大きくなんてなりたくない―そんなセキの思いとは裏腹にあらゆる人間が彼のもとに集まってくる。すべてが潮時と感じ、日本を出ようと思い始めたセキの前に、自分を翻弄した唯一の男、蓮が現れる。理屈も立場も飛び越え、言葉を失わせ、ただ互いの熱を求め合う邂逅。しかし―。シリーズ完結巻。
谷崎 泉 (著), シバタ フミアキ (イラスト)
出版社:二見書房